渡部昇一 上智大学名誉教授
好運をつかむには「鈍」と「根」だけでもダメなのだ。この辺が難しいところなのだが、ドンと構えて根気よく運を待っているだけでは好運はやってこない。
いい運がやってこないかなと期待する気持ちがないと運はつかめないのだ。この気持ちがないと、せっかく運が向いて来てもそれが好運なのかどうか、運が強いのかどうかがわからないからだ。せっかくの好運を見過ごしてしまっては何にもならない。常に運を期待する気持ちを持ち続けていれば、普通なら見逃してしまうような小さな運にも気づき、それがひいては大きな好運につながっていったりするのである。
運を期待する気持ちを持てと言ってもわからなければ、虫のいいことを考えるのでもいい。要するに、どんなことがあっても、いい運がめぐって来ないかなと期待する気持ちを捨てずに、虫のいいことを考えながら、ドンと構えて、現在よくやっていればいいのだ。そうすると、いつか本当に運が見えてきたりする。
著書『自分の品格
』より
麻雀のようなゲームであれば、ある程度強い人なら誰もが当然のように考えることなのですが、これがなかなか人生という一発勝負の場では「流れが来るのを待つ」のは簡単なことではなかったりします。つい焦って、泥沼にハマってしまったり。気持ちが切れて、運が向いてくるまでの間のしかるべき努力を怠ってしまったり。
人生や物事の成功のためには運も必要だ、ということを、「そうかもしれないなぁ」ぐらいの気持ちで捉えていると、いい運を期待する気持ちは保てなかったり、期待する気持ちが段々卑しいものになってきてしまいかねません。
はっきりと、「運も必要だ」と認め、積極的な姿勢でもって好機を伺うような態度が、大切なのではないでしょうか。