クリエイティブは好奇心に発見され、無数の実験を通して形になる

小さく賭けろ!

あらゆる仕事において創造性が求められる時代になっています。そこで、創造力・クリエイティビティといった、学生時代に要求された処理能力とは真逆の知性を身に付け発揮するために、参考になりそうな話がありましたので紹介します。

ピーター・シムズ 著『小さく賭けろ!』(日経BP社,2012.4)から、興味深く読んだ部分を要約

思案し続けるより、試行錯誤するほうが良い

  • 間違いを犯さないようにするより
    間違いを修正するほうが良い結果を生む
  • ピクサーは、「プラシング(プラス+ing)」というコンセプトを大事にしている。
    プラシングの要点は、アイデアを改善する際に批判的な言葉を使わないこと。
    常にアイデアがプラスされていく雰囲気や、
    ユーモアや遊び心を保とうというコンセプト

どこに焦点を当てているのか、の違いなのかもしれませんね。「間違いを犯さない」ことに焦点を当てていたら、そりゃ動けなくなり、動いてみてもやっぱりおもしろいものは生み出せないでしょう。最高におもしろいものを目指して、そこに向かって「何度も改善を重ねていく姿勢」が、何かを生み出したいと考えている人の素直な行動のように思えます。

間違いを犯さないように慎重になっている姿勢は、おもしろいものを生み出すことより他に何か守りたいものが、それは自分の立場や周囲からの承認、または現金だったりもするのかもしれませんが、そういうものがあり、それを守ることが「おもしろいものを生み出す」ことより自分の中で優先順位が高いのかもしれません。

もちろん誰でも、たとえば収入を守ることの必要性には迫られていると思いますが、それでもこれから何かを生み出そうという時にその自分の個人的な都合が前面に出てきてしまっているようでは、恐らくあまり良いものは生み出せないんじゃないかと、そんな風に思えます。

その点、ピクサーの「批判的な言葉を使わない」というのは、社員におもしろいものを生み出そうとすることに焦点を当て続けさせるためには、とても的を得た巧みな姿勢だなと感心させられます。

即興が、創造性のリミッターを外してくれる

  • 即興は、はるかに創造的な精神状態を引き出す
  • ミュージシャンの脳では、即興中は自己監視に関する活動が停止され、
    斬新なアイデアの流れを妨げない活動が行われている

この人間の仕組みは誰もが少なからず体験を通して知っているんじゃないでしょうか。たとえば「誰かに説明しているうちに自分の意見がまとまった」ような体験も、誰かに説明するという即興的な状況が自分の脳の創造性を高め、バラバラだったものが一つの有機的なつながりを持つという、一つの例だと思います。

「人にアドバイスする時は自分でも感心するようなことをアドバイスできるのに、自分のこととなったらてんでダメ」というのも、即興とそうでない状況との違いが関係していそうです。

もしかしたら、高い集中力を発揮している時というのは、それがデスクワーク時であれ運動時であれ、その時はこの「即興」のような状態に脳がなっているのかも、なんて思ったり。

知的好奇心や人への関心は、創造的な仕事をする上では強力な武器となる

  • 知的好奇心と創造的生産性には、強い相関のあることが研究者たちによって示唆
    されている。大規模な研究の中で、イノベーターと非イノベーターを区別する
    「行動パターン」や「発見スキル」がいくつか見つかった。
    それを一語に要約すると「知的好奇心」
  • 模範的イノベーターたちは、ものごと、特にほかの人々の行動を詳細に観察している。
    「他人を観察するときに彼らは、人類学者か社会科学者のように振る舞う」と
    ダイアーとグレガーセンはHBR誌で発表している

世の中には意外と「人間観察が趣味です」なんてことを半分冗談、半分本気で言う人もけっこういますよね。かく言う私もその一人なのですが。でもそんな関心が創造的生産性との間に強い相関があるとは、驚きです。

知的好奇心や人間という生き物への関心の高さが創造的生産性の高さと関係しているということは、このブログを興味深いと感じてくれる読者の方はまさにドンピシャ、創造的生産性の高いであろう特性を持ったタイプの人間だと言えるでしょう。あなたはきっと、クリエイティブな、イノベータータイプです。

自分の興味関心、そして多様性を大切にしよう

  • 成功した創造的人物の両親は、何であれ本人が関心事を追求するのを重視する傾向にある
  • イノベーターと非イノベーターとの行動パターンの違いの一つとして、
    イノベーターは異なる経歴を持つ人たちと定期的に交流を持っているということがある。
    この傾向は個人だけでなく組織や社会のレベルでも同じで、
    労働者の多様性(機能的視点による)が高く、個人間の交流が盛んな都市や地域が、
    創造性に富んでいることを示す説得力のある分析結果もまとめられている

創造的な仕事をする上では自分の内側から湧き上がってくる興味関心が何より重要というか、そこを刺激されなくて創造的な仕事はできないだろうというぐらいのものではありますが、そうはいってもつい私たちは、「何々するべき」「何々でなければならない」みたいな一般的な価値観に振り回されてしまうことも多々あります。

その、いわゆる“常識”のようなものを、いかに自分の頭から取っ払えるか。いかに自分に素直に生き続けられるか。それができたからといって何か即結果につながるというわけではないけれども、そういう生き方の日々の積み重ねが、ゆくゆくは他者から見て「とても追いつけそうに思えない、飛び抜けた存在」に自分を成長させてくれるのではないかと思います。

好奇心を持ち続け、本質を見極め、無数の実験を繰り返す

  • 実験的なイノベーターは皆、驚くほど似たアプローチをとっている。
    彼らは現実に身をさらし、常に激しい好奇心を燃やし続けているため、
    新鮮な洞察とアイデアを得る。
    そして解答を見つける前に、まずどこに問題があるかを理解する。
    さらに、アイデアを深めるために安価で簡単なプロトタイプを利用して、無数の実験を行う

ある一定以上のクラス(階級)の人としか付き合わないとか、高尚なものばかり好んでオタク文化などには全く関心を示さないだとか、失敗を恐れたり挑戦を面倒臭がったりするのは、創造的な人の姿勢ではないようです。

人間そのものに興味を持って多様な階級の人と付き合い、誰でも気付けるような表面的な問題ではなくその問題の本質を見極めようとする癖を持ち、失敗を繰り返している実験も楽しめるような探究心を持って挑戦を続ける。それだけが唯一の創造性を発揮する生き方ではないかもしれないけれど、少なくとも多くの創造的な人々は、そういうアプローチを取って創造的な生産性を高めているようです。

以上です。
ではまた。

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